小学校の3階に図書室が あり、 その隣に 資料室がありました。
ある日の休憩時間、 友人を探して 資料室の前を歩いている時、 誰かが、教えてくれました。
「あっちへ行ったよ。」
声のする方に 振り向くと
そこには、オランウータンの子供の剥製が座っていました。
『誰の声?えっ、このオランウータンが しゃべったの??』
『まさか?』
と、思っていましたが・・
数日後、 図書室の掃除当番になり、
その日以降、毎日のように 図書室へ行く事になったのですが、
何故だか、オランウータンが気になり近付いて行きますと
「いっしょに あそぼ。」
「あそぼう。」
と、声をかけてくるのです。
「後でね。」
答えた私は、 放課後の図書室で、
オランウータンの剥製を机の上へ座らせて、 一緒に本を読んだのでした。
オランウータンの子供だから
『ウータン』
と名付け、友達になりました。
ウータンと本を読んだり、 話をすると、優しい気持ちになっていきました。
でも、 友人たちは、剥製を怖がって、 誰も近付いてこないのです。
皆の怖い気持が 理解できず、
「この子、怖くないよ。」
と、 主張する私は、 変わった子供になっていったのです。
・・小学時代・・
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