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亡き母とレモンティ

  1. 亡き母と

  2. 私自身の体験談です。

  3. 亡き母が、末期がんで闘病中のある日、

  4. 「喫茶店へ行っきたい。ぜんざいを食べたいなぁ。」

  5. と、言うのです。

  6. 母の体調の良い日に母と妹と私の三人で、母が入院していた病院近くの喫茶店へ行こう

  7. と言うことになったのですが、

  8. 当日になって急に母が、

  9. 「母娘三人で出かけるのは、父に悪いから行くのをやめる。」

  10. と、行かなかったのです。


  11. でも、何とか雰囲気だけでも感じて欲しいと思い。

  12. 母はレモンティが好きでしたので、

  13. 『インスタントのレモンティ』

  14. 『おしゃれな紙コップ』

  15. 『ペーパーナプキン』

  16. を買って、母の病室へ持参しました。


  17. 母は、このレモンティセットを気に入って、

  18. お見舞いに来てくださった友人にも、

  19. 母自ら嬉しそうにレモンティを出していました。

  20. それでも、亡くなるまでに

  21. 『「ぜんざい」を食べたい』

  22. と言う願いを叶えてあげる事はできませんでした。


  23. 母が他界して後、妹と二人で、

  24. あの病院近くの喫茶店へ行った時です。

  25. 二人なのに、

  26. お手拭、

  27. 水も

  28. 三人分出されました。


  1. 『亡き母も一緒に来ているけれど・・』

  2. と、思いつつ

  3. レモンティを3つと

  4. ぜんざいを3つ注文しました。


  5. 実際には、亡き母は食べることができませんが、

  6. 喜んでいました。

  7. ですから、

  8. 亡き母のぜんざいを私が食べたのです。


  9. その後、

  10. その喫茶店へ三人(実際は二人ですが)で行くと、

  11. 亡き母の為に注文した「ぜんざい」を

  12. 食べることになってしまった私は、

  13. 当然のことながら

  14. 太ってしまったのです。

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